実録 小山田いくの世界
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「あさま」・「EF63」

 長野新幹線(正式には北陸新幹線)の開通により、その名称を新幹線に譲った、信越本線の元特急電車が「あさま」です。
 東京方面、または、長野(直江津)方面から、小諸への鉄道によるアクセスは、特急「あさま」の使用が一般的でしたので、小山田いく氏の作品でも度々登場します。
 EF63は、「きまぐれ乗車券」や「迷い家ステーション」で登場します。群馬県と長野県との県境にある碓氷峠を通過する、すべての列車に連結された「碓氷峠専用」の電気機関車です。
 平成9年(1997年)9月30日の信越本線、横川〜軽井沢間の廃止により、EF63は全車廃車となりましたが、動態保存(実際に動かせる状態での保存)されており、横川駅に隣接した「碓氷峠鉄道文化むら」では、このEF63を体験運転する事が出来ます。


特急「あさま」(489系電車)

写真:特急「あさま」(489系電車)

 小山田いく氏の作品で、最初に特急「あさま」が登場するのは、「すくらっぷ・ブック」第17話(S3/P35)ですが、駅名標に「OKOCHAN」という表記があるため、作画は、たがみよしひさ氏でしょう。
 ここに描かれた特急「あさま」は、「きまぐれ乗車券」で登場する「189系」特急電車ではなく、「489系」と呼ばれる特急電車で、電車の最前部に「貫通扉」が、あるか、ないかで区別出来ます。
 189系は直流専用の特急型電車、489系は交流・直流両用の特急型電車です。


特急「あさま」(189系電車)

写真:特急「あさま」(189系電車)

 「きまぐれ乗車券」第1話(P8)には、「あー愛車 189系特急電車で……」と、あります。
 特急「あさま」に使われていた車輌は、189系と呼ばれる特急用の電車(一部、489系を使用)で、特急「あさま」のために作られた車輌でした。
 信越本線、横川〜軽井沢間の急勾配区間を走行するために、EF63と呼ばれる電気機関車を連結する必要があり、この区間を最大12輌編成で走行出来るように開発された特急用の電車です。
 「すくらっぷ・ブック」第63話(S7/P171)、「星のローカス」第35話(L5/P73)、「ヘスペリスブルー」(L5/P132・P133)に登場する特急「あさま」も189系です。


「あさま」の方向幕

写真:「あさま」の方向幕

 「すくらっぷ・ブック」第63話(S7/P170)には、特急「あさま」の方向幕が描かれています。
 「あさま」の方向幕に表示される行き先としては、「上野」「長野」「直江津」等の他、「上野←→長野」という表示もありました。


「あさま19号」

写真:「あさま」19号

 「きまぐれ乗車券」第1話(P10)では、上野駅に停車中の「あさま19号」が描かれています。


15時30分発 長野行き

写真:「あさま」19号の発車案内

 「きまぐれ乗車券」第1話が、少年ビックコミックに発表された昭和61年(1986年)5月当時、「あさま19号」は、上野15時30分発、長野行きのダイヤとなっていました。
 「きまぐれ乗車券」第1話(P10)には、「15:27」と表示された時計を見て、「時間がない! 時間が!!」と、あります。


「あさま14号」

写真:「あさま14号」

 「きまぐれ乗車券」第1話(P24)には「「あさま14号」長野発上野行きー」と、あります。
 写真は、長野駅で出発を待つ「あさま14号」です。


「あさま14号」と「あさま19号」

写真:「あさま14号」と「あさま19号」

 「きまぐれ乗車券」第1話が少年ビックコミックに発表された昭和61年(1986年)5月当時、12時10分に長野駅を発車した「あさま14号」が上野駅の7番線ホームに到着すると、その隣の8番線ホームでは、「あさま19号」が発車を待っているという光景が見られました。
 写真奥の7番線に停車している列車が長野発の「あさま14号」、写真手前の8番線に停車している列車が上野発の「あさま19号」です。


特急「あさま」(あさま色)

写真:特急「あさま」(あさま色)

 国鉄からJRへの移行に伴い、クリーム色と赤色とで塗色された特急のカラーリングも、各特急ごとに独自の塗色がされるようになりました。
 特急「あさま」も、「あさま色」と呼ばれるカラーリングがなされ、この「あさま色」の特急「あさま」が「風の宿」第38話(K5/P29・P30)に登場します。


「EF63」

写真:「EF63」

 信越本線、横川〜軽井沢間には、碓氷峠という難所がありました。66.7パーミル(1000分の66.7)の急勾配(1000メートルの水平距離に対し、66.7メートル登る勾配)を通過する列車を補助する目的で製造された電気機関車が、EF63形直流電気機関車です。
 2輌1組で運用され、碓氷峠を通過する、すべての列車が、このEF63を連結し、峠に挑みました。
 写真は軽井沢から峠を下って、横川駅に到着した上り特急「あさま」です。
 上り列車(上野行き)の場合は、EF63は列車の前に連結して、列車が下り坂で暴走しないようにブレーキの役割をさせました。また、下り列車(長野方面行き)の場合は、列車の後ろに連結して、列車を押し上げる役割を果たしました。


機関車との連結

写真:機関車との連結

 信越本線、横川〜軽井沢間では、電車に機関車(EF63)2輌を連結するという、運転方法が採用されていました。
 「きまぐれ乗車券」第1話(P13)にも、「ねーこれ、電車でしょ? なんで機関車なんかくっつけるの?」と、ありますが、横川〜軽井沢間を通過する、すべての列車にEF63が連結されました。
 国鉄(JR)の車輌では、客車や貨車に使用されている連結器と、電車で使用されている連結器とでは、その形状が異なります。
 EF63は、形状の異なる2種類の連結器に対応するため、「両用連結器」と呼ばれる特殊な連結器を装備していました。
 「迷い家ステーション」第18話(M3/P24)にある「複雑な連結器」とは、この両用連結器の事を示しています。
 EF63を連結した「あさま」は、「きまぐれ乗車券」第1話(P34・P35)、「迷い家ステーション」第18話(M3/P25・P26)でも登場します。

 

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